私、前巻読んで思いました。落ちゆく女は救えないんです。落ちてゆくのを見てるしかできないんです。なので、どんどん、彩女が落ちてゆくとこを見届けようと思います。エロにすがる女は好きです。悲しいロマンチックも好きです。って事で、4巻突入。
[Gino0808] 雪女と蟹を食う4巻
■あらすじ
盛岡の洞窟で、彩女の死にたい理由を告白するところから始まるが、アホの北は、旦那に隠れて自分と会ってれば解決すんのに。みたいなマヌケな事を考え、どんどん死にたくなくなっているのを見透かされる。
↑盛岡の龍泉洞って言うらしい。めちゃくちゃ綺麗。
フェリーで青森を出て、海上で、「30万あげるから北海道着いたら帰れば?」的な事を言われ、覚悟できてないくせに、「絶対に1人で死なないで約束してよ」なんてカッコつけちゃう。それで彩女に言われたのは、「残りの10日、あなたももっと楽しそうな顔をして」と宥められる。
なので、北海道についたら観光スタート。ジンギスカンやら、六花亭カフェやら、いちゃいちゃしながら楽しむ中で、彩女さんが言ったのが、本日のお言葉。
「私なんだか、北海道についてからお腹がいっぱいにならなくて、無限に食べれるような気がしてるんです。」
あ〜、わかるよそれ。私、酒を飲むたびに思います。飲めば飲むだけ、無限に食えます。無敵になれる。最高よね。スレンダー巨乳の美人が言うと染みるね。非常に深い。
で、4巻最大の見せ場。
立ち寄った本屋にデカデカと展開されていたのが「雪淵一騎 起死回生のベストセラーついに文庫化 『雪女と蟹を食う』」のポップと、大量に陳列される文庫本。
彩女は気付いてないのか、北の手をとってその場を離れるが、気になる北は、彩女が寝てから本を買いに抜け出すも、ホテルの場所を忘れ迷子になり、キャバ嬢に拾われ、一夜を明かす。そして、彩女は翌日、ひとりチェックアウト…。ってとこまで。
■文庫本『雪女と蟹を食う』のミステリー
そうきたかー。
そうくるかー。
「雪淵一騎 起死回生のベストセラーついに文庫化 『雪女と蟹を食う』
思わず、2回唸ってしまいましたね。
もう、まんま。何の捻りもない、ド直球。
北くんも驚いたと思うけど、読者も驚いたと思います。
私も、1巻の感想の冒頭で、このタイトルを、「文学的の様で実はそうでもない、なんともまぁ、含みのあるタイトル」と書いたけど、ここまでまっすぐ打ち込んでくるとはね。あっぱれです。
となるとですよ。全てが運命づけられてたと言うか、計画的に導かれているのか。これは、もう、北くんのお話ではなくなってしまうんじゃないか。って言う心配も出てくる。
彩女さんは、TVで蟹を見てたから、たまたま蟹(と自殺)の話に乗ったと思ってしまっていたが、そうではなく、実は彩女さんはすでに自分が「雪女」である事を自覚し、何らかの理由で、北海道に蟹を食べに行こうとしていたのではないか。
そこに、体力のありそうな若くて、自棄になっている男を見つけ、自らぶつかり、襲わせるように仕向けたのではないか?
■主人公交代の危機
そうなると、物語がガラッと変わってくる。主人公も変わる。そう、北くんは、圧倒的弱者。ただただ、翻弄される操り人形であり、ここまで彼の意思は介在していない。全部、流されて何となくやってきてる。
死のうと思ったけど、死ねない。TVでやってたから蟹食べてみたい。お金ないけど、あの人の指輪とったら10万円位になりそうだな〜。えっ、ヤラせてくれるの?2回もっっ!?蟹食べに行くの付き合ってくれるの?えっ、車で旅??えっ、生でいいっすか!?
これまでね、むかついてたんですよ。北に。白々しく「何かしてあげたい」とか言って、自分が死なないで澄む方法を模索しているのが丸見えじゃないですか。あわよくば、自分と一緒ならやり直せないか?みたいな、下心しかないじゃないですか。もしかしたら、リアルに昔の自分を見ている様な気持ちがあったのかもしれない…。
けど、自分より本気で死にたがってる、死のうとしているやつを前に、戻れない、戻らないはずだけど、本当に戻れない様な状態になって、首に完全に縄がかかって、椅子もグラグラしてる様な、お股ヒュンヒュンする様な状況じゃないですか。ざまみろって思ってたのよ。
けどね、これが全て仕組まれていた様な事だとしたら、話は変わってきますよ。怖いですよ雪枝彩女。5巻が楽しみでなりません。
ただ、いきなり関係ないキャバ嬢が出てきちゃったからなー。絶対、やることやっちゃうからなー。佳境に入ってるのに、その横道いらないんだけどなー。なんて思ったり、思わなかったり。
ちょっと、恐怖を感じた4巻でした。
ロマンチックシーン不足でしたが、ぜひ、お試しあれ。
■雪女と蟹を食う4巻 試し読みはこちら
【雪女と蟹を食う】4巻
FOLLOW
Twitter
コメントを残す